kakaku01の日記

サラリーマン。文体はノリで変わります。

アイヌと正義と人を殴るということ

アイヌの件がぶすぶすとくすぶっていて、イライラしたのでがさがさと書く。

 

アイヌの件とは、以下のような微笑ましい出来事である。

  1. Twitter上で格闘ゲーマーが身内同士のリプライで格闘ゲームナコルルというアイヌのキャラクター(今作で理不尽に強い)について「アイヌ殺す」とツイートする
  2. 通常は外からは見えない発言だが、アイヌで片っ端から検索してるおっさんが発見、ヘイトスピーチとして突撃する
  3. 正義の使者が続々降臨。発言者のアカウントが消える

 

まず最初に、実在のアイヌ民族に対する過去のえげつない同化政策と差別が存在し、現在にもそれが残っていることは事実であると思うし、疑う余地はない。しかしこの件について自分は元発言者を擁護するし、他者を罪人として正義の名の元に他人を殴りつける奴らを激しく非難する。

 

対象のツイートをヘイトスピーチとしてバッシングする勢力の主張にそれぞれ反論していく。

 

いかなる文脈においても「アイヌ殺す」という発言は許されないという主張

アイヌのことを、最近外国人の友達に説明する機会があった。 偶然、そこ..

こういう発言があったが早々に「どんな文脈であろうと差別的」であるとすれば引用でさえ自らも同じ罪を侵していると指摘されている。慌てて発言を修正したが「自分のアイヌ殺すは良い文脈、あいつのアイヌ殺すは悪い文脈」というエゴが透けて見える。

「オウム返しなんてガキっぽい」なんてトンチキな事を抜かす連中も現れた。…まったく説明するのもバカバカしいが「バカって言う方がバカ」が屁理屈なのは「バカと言う方がバカ」である根拠が存在しないからである。「アイヌ殺すはどんな文脈であろうと差別的」である場合にその発言そのものが差別的となる自己矛盾は、屁理屈ではなく理屈で、指摘は適切ではない。こうした自分のぶち上げた条件さえ自分に適用できないのは、自分たちは正義だから例外的に正しいのだと思い込んでいる証拠である。ソーシャルジャスティスを振るう時は自分を含むあらゆる人間に適用できる概念を提示すべきだ。

話を戻して、差別であるか否かの判定に文脈というのは非常に重要で、文脈一つで「Black」だの「White」だの「Yellow」といった単語でさえ差別となりうる。それが色を指すのか人種を指すのか、更にその人種の蔑称として特段の意味があるのかは文脈により判断される。もちろん文脈とは受け手側に理解のブレ幅があり、発言者に自覚がなかったにせよ受け手の解釈で揉めることもあるが今回のケースは後述の点でやはり差別とはならない。

 

アイヌという言葉を用いる事が無自覚・無知による差別でありヘイトスピーチであるという主張

ナコルルが強すぎてムカつく人たちによるアイヌヘイトスピーチ - はてこはときどき外に出る

無自覚的な差別、無知による差別、どちらも存在するだろう。また娯楽作品によるゆるやかな差別の助長といったものはゲッベルスのユダヤ人差別の手法を紐解けば意外と効果があるとわかる。が、今回の件は知識の有無に関わらずアイヌという言葉の文脈上の行先がゲームのキャラクター一点に絞られている点でそれらにまったく該当しない。仮にこの文脈上のアイヌ殺すが100万回使われたところで実在のアイヌという民族に対する偏見というものは一つも助長され得ない(スラング化により意味が喪失された場合は除く)。ちなみに「インド人を右に」は日本全国で100万回は使われていてもおかしくないワードだが、実在のインド人を右に配置する差別的待遇が行われたというニュースは見たことがないし、ストリートファイターの文脈を通じて実在のインド人が火を吹いたり手足が伸びたりテレポートしたりするという偏見を持つ日本人は一人もいない。これらと同様に、いくらナコルルが強くてこのアイヌぶっ殺す!というヘイトを向けてもヘイトの行先はナコルルであり、サイコボールをかき消しながら一方的に飛んでくるママハハであり、謎の無敵時間のある鷹捕まりである。実在のアイヌ民族に対して格闘ゲーム上の性能が原因で差別的な扱いをすることは、ありえない。(ありえたら今頃ルチャリブレは滅びている)

いじめ問題などで加害者が「内輪ネタ、冗談」と言った無自覚によるはぐらかしを行うパターンを本件に適用している者も散見されるが、実際の行為も憎悪を向けられる対象者も異なる本件は全く別の話であり、同じように当てはめて考えることはできない。そもそも覗き見る事のできない他者の心の中や無意識に罪があると断定するのは証明できない危険な行為だ。本当に自覚のない差別感情を喝破するならば、テンプレート的な当てはめでなく相応の説明をする義務がある。

 

上記ふたつの理由をもって、私は当該ツイートを差別やヘイトスピーチではないと主張するし、それらを認定してバッシングを行った人たちを批判する。

 

Twitterの片隅の個人間のリプライに罪を認定した皆さんへ

お前たちは勘違いから始まった正義の戦いに酔いしれて人をヘイトスピーカー扱いしてぶん殴った。他人の存在しない罪を認定しているヒマがあったら実在する自分の罪を自覚しろ。