kakaku01の日記

サラリーマン。文体はノリで変わります。

ゲーム感想文:GUNDAM EVOLUTION キャラゲーとeスポの狭間で

まるで悲しみの欠片だわ

友達から誘われたこともあり、2023年11月末にサ終が決まっているGUNDAM EVOLUTIONを看取ってきました。

gundamevolution.jp

 

GUNDAM EVOLUTION(以下ガンエボ)は6on6のオブジェクティブルールに基づくチーム対戦シューター…とかゲームメディアでもないのに回りくどい言い方はやめよう。ガンダムオーバーウォッチです。珍しいガンダムFPS新作ということで自分は結構期待してて、ゲームコンセプトも好みだったのでネットワークテストもガシガシやっていました。PC版の正式サービス開始と同時に乗り込み、シーズンパスを買い、ランクマッチを頑張ってダイヤ帯まで上がり、そしてシーズン2を待たずに他ゲーに行きました…

それで今回久々にやってみると結構おもろいじゃん…となり、当時の想い出を振り返りながら良かったねとか良くなかったねとか書いて備忘としたいと思います。

ネットワークテスト参加者特典。長く続いていればドヤ顔できた。

ゆるいロール制チームFPSとして

OWとの差別化ポイントとして良かったのはロール制の緩和で、ヒーラー的な役割のメタスやユニコーンにもそれなりの攻撃力が備わっていたり、アタッカー担当のガンダムやペイルライダーにもそれなりの防御力と耐久があってOWのようにヒーラーやタンクが落ちたからといってそこまで戦局が決定的にならない(≒味方や自分に完璧な動きを要求しない)ゲームになっていたのは個人的には好みでした。OWでアタッカーが一瞬のスキをついてヒーラーを落として他のメンバーで回復のアテを失くしたタンクを落とし、防御手段を喪った敵アタッカーを掃討して一気に畳み掛ける瞬間は気持ちいいけど逆にボコられてる時の苦しさはハンパない(そして味方に不満が行きやすい)ので、チーム戦の戦略性が犠牲になっても個人技で多少は仕事ができるデザインになっているのは気楽に遊べて良かったなと思っています。

耐久高めでオートエイムで機動力もあり蘇生が速いと小器用なガンタンク。D.Vaは外装のメックを自爆させるがガンタンクは本体のコア・ファイターを自爆させる(?)。

参戦モビルスーツ

参戦モビルスーツはシーズン7時点で24機。下図を見ての通りマヒローだのドムトルーパーだのUC版のマラサイだのヘンな奴らが結構います。特にSEED本編から唯一の参戦機体がドムトルーパーガンダムゲームは今後現れないと思う。(ハイペは外伝)

シーズン7までに参戦した機体たち。上段が初期メンバー。

参戦機体が持ってる武装も結構ヘンで、ペイルライダーが謎の回復ポッドを置いたり(ソルジャー76…)ザクⅡが謎のスモークディスチャージャーで無敵になったりアッシマーが謎の焼夷グレネードを投げたりジムが謎の回復グレネードとリモコン爆弾(仕掛けられた側では?)を使ったり遠慮なく改変しまくっています。これらはキャラものとしての原作再現よりFPSのゲーム上の都合に合わせたんでしょう。

とはいえそれらの武装のお陰でジムは貧弱な耐久と機動力を盾とリモコン爆弾で補ういぶし銀的な活躍ができて楽しいし、ドムトルーパーは原作通りバズーカとビームを併用してバズーカに追い詰められた敵をきっちりビームで落としたり、ultGマニューバのスクリーミングニンバスで敵陣をぐちゃぐちゃに引っ掻き回しつつ地雷を撒いて離脱するのも愉快であり、モビルスーツ武装そのものは完璧でなくともモビルスーツの役割自体はいい感じに再現されているものが多かったと思います。高機動遊撃アタッカーのザクⅡは…シャアザクスキンにするとしっくり来ます。

シーズン6で追加されたΖガンダム。変形による空戦と盾の継戦能力を両立した機体。ビームが例のSEでうれしい。

キャラゲー誰出す問題と課金

参戦機体については個人的にはあまり気にしていませんでしたが、観測範囲内ではなんでフリーダムも出さずにドムトルーパーやねん等々、割と批判的に言及されていました。ガンダムのゲームでガンダム出してくれよというのは全く正しい要求であり、バズーカ撃てる半補助ダメージロールが欲しかったからSEEDからはドムトルーパーなって言われて納得する方が聞き分けが良すぎる気もします。とはいえじゃあフリーダム参戦してまた中距離でビーム撃つ奴が増えてその代わりにバズーカ持ちのドムトルーパーが居なくなったら対戦ゲームとしてはかなり困る訳で、ここら辺はキャラゲーの難しいところです。しかし最終的に人がいなくなってサ終に至ってしまったわけだから、やはり各作品の主役ガンダムぐらいは仁義を切って出すべきだったのかもしれません。

参戦機体より一番アカンと思ったのはその追加された機体たちの入手方法で、最初の12機以外は課金またはゲーム内通貨(キャピタル)で購入…なんだけど自分がやった稼働初期はこのキャピタルの供給が渋くてシーズンパスを買って1シーズンの報酬を全部取ってもスタートダッシュミッションを合わせても2~3機しかアンロックできず、それ以上は長い年月をかけてキャピタルを集めるか諦めてお金を払うかするしかありませんでした。もしかしたらシーズン2以降は緩和されていたのかもしれませんがチーム戦FPSで課金しないと対戦環境を形成するキャラが使えないというのは印象が最悪で、シーズン2開幕!νガンダム参戦!と復帰タイミングに相応しいアナウンスがされた時でも金払わないと使えないじゃんとスルー…という良くないサイクルが出来上がっていたように思えます。

この仕様はゲームバランスへの文句も倍増させることになり、稼働初期突出して強かったガンダムエクシア、ザクⅡ(格闘装備)がアンロック機体だったことからPaytoWin呼ばわりまでされているのをチラホラ見かけました。モビルスーツが一番手っ取り早く課金させる手段だったとは思いますが、ここは頑張って欲しかった。

やっぱ対戦ゲーでキャラ課金は良くないっす。

ゲームバランス

シーズン1までしかやってないので細かいゲームバランスについて言及することはできないんですが、やってる期間中に公開されたバランス調整は統計上の勝率や各種数字に基づいて調整されており、一定の説得力はあるように見えました。∀の巴投げを下方した理由はわかりません。が、一方で当時のプレイヤーの反応はバルバトス・エクシア・格闘ザクへの憎悪が渦巻いており、調整内容と結構な温度差があったように思えます。

初期のエクシアと格闘ザクは実際に勝率も高かった一方、バルバトスはそこまで環境を席巻する機体ではなかったものの、対策を知らない新規・FPS初心者への狩り性能が絶大で一番のボリュームゾーンであるピラミッドの下の方の人口を狩り殺してしまったのはかなり良くなかったんじゃないかと思いました。バルバトスは溜めハンマーと太刀のリキャ中は居ないも同然なので、一人倒してジャンプで逃げてもリキャを待ってる間はほとんど仕事をできないことを鑑みると実はそこまで厄介でもないんですが、即死させられた側の不快感は本物なので統計は正しい、当たる方が悪いで1シーズンまるまる放置して良かったのかは疑問が残ります。正しさが人を救うとは限らない…

ただ「強くはないが不快なキャラ」の調整は下方じゃ駄目でリワークが必要なので、どうすれば良かったのかは自分にもわかりません……

PC版ネットワークテストのアンケート。バルバトスの嫌われっぷりが凄い。

君は刻の涙を見る

こうして振り返ってみるとゲーム全体の出来映えはそれなりに良かった一方で、ガンダムという題材を使ったキャラゲーでありながら期待されるキャラクターを出さず、競技性を高めた対戦FPSでありながらキャラに課金を求める矛盾があり、ガンダムのIPでプレイヤーを集めたのに競技シーン基準の正しくて苦しいバランス調整で淘汰してしてしまうなど、キャラゲーとしての仁義とe-Sportsの競技性の狭間でうまいこと舵取りができなかったゲームだったように見えてきました。

とはいえキャラゲーでありつつゲームプレイを重視した新作が出た事は喜ばしく、2022年以前は結構これからはe-sportsの時代だ~って空気でしたが現在2023年はそうでもなくなってきたというか、普通のスポーツだって新しいルールが台頭してプロリーグが産まれることなんて滅多にないし意図的にe-Sportsなんてホイホイできるもんじゃねえよ的な揺り戻しが来ているのでガンダムファンもFPSファンも総取りできるような、双方心地の良い距離感のガンダムFPSが産まれる礎になって欲しいなという祈りを込めて結びとします。

また新しいのが出たらやるからよ…止まるんじゃねえぞ…